「悪露」は、産科特有の用語のため、漢字だけを見ても、読めない、意味が分からないという人も少なくないかもしれません。産後の悩みの一つに挙げられる「悪露」について、専門家の先生に聞いてみました。

目次

• 産後の悪露 (おろ) とは
• 排泄量の目安
• 悪露の変化
• 悪露は、いつまで？
• 悪露が長くつづくと、どうなる？
• 悪露の量が増えたら？
• 帝王切開の場合でも、悪露は排泄される？

産後の悪露 (おろ) とは

悪露は“オロ”と読み、「悪」は良くない、「露」は分泌物を表します。つまり体に良くない、不要なものを体の外に排出するという意味合いで「悪露」という言葉が使用されるようになったのではないかと思います。医学的には、分娩後に子宮と腟 (ちつ) から排出される分泌物のことをいいます。

赤ちゃんが生まれた後、胎盤や卵膜がはがれたことによって生じた子宮内の傷からの分泌物と、子宮頸管や腟からの分泌物からなります。主な成分は、血液 (赤血球、白血球) 、リンパ液、粘液、脱落膜片、脱落膜細胞などです。子宮や腟などの傷が回復してくるのに従い、量や色合いが変化します。

排泄量の目安

悪露の総排泄量は個人差が見られますが、一般的には500～1,000g。

胎盤の大きさや子宮が戻る経過が関係するため、双子や赤ちゃんが大きい (４㎏以上) 場合などは、悪露が多く長くつづくことが予想されます。その場合は、異常に移行しないように入院中や退院時に説明されます。

悪露の変化

産後数日の子宮のなかは、完全に血が止まっていないため、血液成分が多い赤色で、生臭いにおいがします。この時期はできるだけ子宮を小さくして、胎盤がはがれたあとの止血を促すために、たびたび後陣痛が起こります。特に赤ちゃんがおっぱいを吸うと痛みが増強し、初産婦に比べ経産婦に多くみられます。大きくなった子宮をもとに戻して出血を減らすために大事な現象なので、産後3日程度で落ち着きます。

子宮内の傷の止血が進むと、血液 (赤血球) 成分は減少し、白血球が増加して、褐色に変わっていきます。軽い臭気を伴います。目安は退院頃から2週間程度です。

その後、傷の修復が進み、黄色から白色に変化していきます。産後3～4週ころに、子宮のなかにできた血栓 (血の塊：ケガをしたときにできたかさぶたのようなもの) がはがれるときに、再び赤色になることがありますが、出血量は少量です。量が増えなければ心配ありません。もし量が増えるようでしたら、医師に診てもらいましょう。

悪露は、いつまで？

悪露は４～6週間程度でなくなります。1か月健診で、少量の血液が混じっている人も時々見られます。

悪露が長くつづくと、どうなりますか？

悪露が子宮内に滞ると、子宮の回復が遅れたり、細菌感染がおこったりする可能性があります。

そのため予防としては、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらってオキシトシンの分泌を促し、子宮収縮を促しましょう。正常な経過をたどり異常がなければ、早期に起立や歩行を開始するとともに、産褥体操を行いましょう。また、ナプキンは３～4時間ごとに交換し、清潔を保ちましょう。

悪露の量が増えたら、どうしたらいいですか？

注意しないといけない悪露の量は「分娩した翌日は100g以上」「2日目は30g以上」だといわれています。

入院中は助産師が注意深く観察していて、どのようなときに報告したらよいかを教えてくださいます。退院後「赤色の悪露が2週間以上つづく場合」には、子宮のなかに胎盤や卵膜の一部が残っている可能性があります。レバーのような血の塊が出たり、後陣痛が強くなったり、悪露に悪臭がある場合は、異常のサインです。医師に診てもらいましょう。

2週間健診を行っているところも多いので、気になる場合には、助産師に聞いてみると回復状況を教えてくれますよ。

帝王切開の場合でも、悪露は排泄されますか？

胎盤や卵膜は手術中に取り除かれるため、経腟分娩に比べて悪露の量は少ないです。

ただ、赤ちゃんを取り出すために子宮の壁を切っているため10日ころまで赤色の悪露がつづく人もいますので、心配しないでください。